庇護雑記

嘘たち

 

 

朝の心臓が溶けていくような動悸がきついから眠るのがいやだ。いま化粧水の青い瓶が落ちて透明のキャップが割れた。

美しすぎて壊したくなるって発言したのはとても人間味を感じて好印象だった。きっとたぶん、大切に丸くして磨いて守り続けてきたものだとしても一瞬の衝動で跡形もなく壊してしまう日が来るかもしれないよ。それは誰しもがそうなんだよ。その引き金は愛の濁りだって前にも言ったじゃない

光の屈折がイコールにならなくなったとき私は私の手で大切なものを壊すでしょう。取り返しのつかないくらいにぐちゃぐちゃにしてしまうのではないかと思う。そして罪悪感で命が絶えるギリギリまで苦しみ続けるのだと思う。でもその醜いどす黒い塊こそが愛の権化だったりするんじゃないかともわたしは考えてたり、するわけで、痛みも苦しみも伴うものがきっと愛だから。美しさなんてぜんぶ嘘で塗り固めた虚像でしかないから。

 

 

 

童話

 

 

一人の少女がいました。

少女の頭の中には、幼い頃に目をじっと見つめながらナイフを握って近付いてきた乳母の顔がしっかりと焼きついていました。その瞳と銀色に光るナイフの冷たさは一瞬にして少女の五感に刻み込まれ、いつでも少女はその鋭利な痛みを鮮明に思い出すことが出来るのでした。

少女がかき集めてきた欠片をすべて放ったとき、それは少女の身代わりとなってバラバラに砕け散りました。突風が吹き抜け、鉄の塊が砕いた破片は少女の胸の奥深くへと突き刺さり、透明な血を流しながら少女は歩き始めました。

一人の王子がいました。王子は退屈な城を抜け出し、ひとりで静かな森を歩いていると、ジャラジャラという金属音が聞こえてきました。それは少女の足に絡まった鎖の音でした。少女の足に絡まったたくさんの鎖を見た王子はその少女を不憫に思い、腰に差していた剣を振りあげてその鎖の一つを断ち切ってみせました。少女は喜び、お礼に王子の望みを叶えることを約束しました。

王子の望みは、この森の奥に咲くという花を摘んでくることでした。少女はその花を摘むため手首から血を流し、毒を飲み干しては長い時間暗い森の中を歩き続けるようになりました。それはすべて王子の望んだことでした。王子のためなら、少女はなんだって耐えられる気がしました。

花を摘んできた少女に王子は銀の首飾りを与えました。それは触れただけで怪我をしてしまうほどに磨きあげられた銀の首飾りでした。少女は王子からのプレゼントを喜び、首につけようとした瞬間、あの感覚が少女を襲いました。切り裂くような冷たさと、目がくらむほどの眩しい銀色の光を直視できず、少女は気を失いました。すると王子は憤慨し、倒れた少女の足から脱げた靴を蹴り飛ばすと踵を返して城へ帰ってしまいました。

雨が降り、少女は一人ぼっちで花を摘みながら雨雲が流れていくのをひたすら待ち続けていました。何のために、誰のために花を摘んでいるのか少女は思い出すことができません。しかし少女にはそうすることしかできないのでした。厚く切れ間のない真っ黒な雲が、少女に被さろうとしていました。

それでも少女はひとりで花を摘み続けるのでした。

 

灯火

 

ちょっと悪魔やってみたら面白かった。

私わかるから、わかっちゃうから。ごめんね

何も言ってないのにわかっちゃうの不思議だなあって他人事のように思ってた。そういうの久々だから懐かしむ気分にすらなる。このままでいいのかな?いいわけがないな?でも、なんか、もうどうでもいいじゃん。ずっと私だけに優しくしてればいいから。

 

 

1年くらい治ってたのに急にぽわんと自分が離れてしまってフリーズ状態になっちゃってごめんなさいだったけど先輩たちがとても親切な人たちで助かった。偏見とかあって当たり前だと思ってたけどそんなもので苦しまなくて済みそう。課長の皆で支えていくっていう言葉がありがたすぎた。生きてていいと思えた。すこし。

 

喋った。あーゆーのってどういう意図なんですかねって。別に腑に落ちる答えが得られたわけじゃないけど若干精神的にゆとりができたのはただ言いたいだけだったんだと気付いた。言いたかっただけだ。灰になりかけた残骸が完全に灰と化す前に眼前に出したかった。ボロボロの今にも崩れそうなものの形をなんとか私以外の人間にも認識してもらいたくて、これがただのグレーの粉だなんて言われたくなくて、

きっと必死だったんだと思う

過去になる前になんとかしたかった

 

 

 

 

 

深淵

 

 

いろんな変化が起きたり新しい経験が増えた

坂道をゴロゴロボールが転がっていくみたいに毎日がめまぐるしくて正直全くついていけないし、出来ることなら自分だけの世界と空間に閉じこもる生活に戻りたい、、と思ったりもする。未だに。

 

海辺で花火をした

火花を散らしまくった後まとめて捨てようとした道具の中に転がっていたさっき買ったばかりのチャッカマンは私が拝借した

私の右手の指がひっかかっているこの引き金を引くだけで青い炎が簡単に飛び出して、全てを灰にしてくれるんだと思ったら強い味方を手にした気分になった

この青い炎も遠くの青い君も私を強くする盾だ

 

私には私にしか見えない盾がたくさんある

戦える あと少しなら 

 

 

ゆめ



強く手を引かれるがまま
深くて濃い緑の果てまで
鋭角の蔦を足首に引っ掛けながら
お揃いの幾何学模様を作って

戻ることなんてできないね
こんなところまで迷い込んでしまったら
でもこれがずっと望んでたものでしょ

幸せだねって泣いてる
小雨に薄められて笑ってる
暗い緑の中で溺れてる
この世で唯一の幸せ

やっとどこまでも行ける
全てのしがらみから解放されて
景色の全てを目に焼き付けられる
邪魔なものは消しゴムで消してあげる
脳裏に貼りついたカーマインも
全部剥いであげるから
生温い重みは切り刻んであげる
淡い色の砂糖で空白を埋めて

小窓をこじ開ける透明の輪っか
柔らかい生花の首飾り
滴る哀しみ慈しみ落ちる雷
右肩 紫の栞
千切れる管
塗りつぶされる夢
掠れてく声
白目の淵に咲いた愛



あおぞら



なんか。
まあ不安に決まってるよね当たり前だよね
笑ってる自分が嫌いだ
おまえ、わらうなよ、なんて思ってしまう



例えば誰にでも好かれる明るくてかっこいい男の子がいたとしてその子が口を開かない限りは親の負債を押し付けられて夜逃げまわって売り飛ばされそうになった過去をその道化の姿から想像するなど全くの不可能だよね
あるいは華やかでキラキラした女の子が完全に愛の冷め切った環境で育ってきて、過去に飲んだガソリンと口が切れた時の血の味を今でも鮮明に覚えてるだなんて、きっとその彼女を演じている限りは誰も知る由もないよね
たくさんの人がいてそれと同数の表の顔があってそれ以上に裏の顔があってそこに内包されているものは数え切れないほどの嘘嘘嘘嘘嘘
みんな嘘ついてるでしょう
知らない方がいい嘘

世界の構造を考えるとそれぞれの意識の数だけミルクレープ状に薄く重なってるように思える、気持ち悪くなってきた
私の目玉を通した世界が青だとするならば向かいのあの人はグリーンで、あの子はピンクあの人はオレンジ先生は赤きみは紫、みたいにみえてるかもしれないよ?世界が何色かだなんて確かめるには他者の意識の中に入り込むしか方法はないけどそんなの不可能で、それなのにたくさんの人が同じ星にて酸素吸って太陽と月を繰り返し眺めてる、なんだか怖い
ミルクレープの上のイチゴになりたいなら世捨て人になればいい、きみは立派なイチゴだ。でも大抵のミルクレープにはイチゴなんて乗ってませんけどね。

弾かれたら終わり、な世の中でどうやって生きていくつもりなんだきみは?いつまで足枷を外せずに鎖を引きずってんだよって話だよね
どこまでも孤独ならばその穴を埋めるだけの力を持たねばならないのに何も持ってないじゃないかバカか?
銃を取れ、なんて表現をしたら頭脳警察を思い出しますけれども私が銃なんてぶっ放そうものなら反動で腕折れる痛いの嫌だ


何の話だかわからない?
私だってわからんわ勢いで打ってるからな



ただめっちゃ辛いんで、めっちゃ苦しいんで、指が動くままにスマホを虐待してるんだよね予測変換が物騒でごめんなiPhone5c

なんでつらいの?なにがくるしいの?
って考えると目を背け続けたこの感情の塊に躓くんだよなやっぱり。乗り越えられそうな気配は全く感じられないので多分私は長生きできないと思います、あ、今すぐとかそういうわけじゃないから大丈夫ですけど、でも押しつぶされて耐えられなくていつか散らばるんじゃないかって思う、いろんな人から生きろとか、長生きしてとか、絶対死ぬなとか言ってもらって本当に嬉しいんだけど何も見えなくなった時その人たちの顔と声を思い出すことができるかな、できなかったらごめんね



でも私頑張ったと思うの
自分の尺度でしかはかれないけど
自分で頑張ったとかいうのダッサイけど
情けないけどめっちゃ甘ったれだけど
22年頑張ったと思うの
こんなことを考えてると勝手に感情の水滴が零れ落ちるんですよね気持ち悪いな、感情の息の根を止めてやりたいわ

私花マルがほしい
よくがんばりましたって花マルをもらえてたあの頃が遠ざかっていってもう私は二度と誰からも花マルなんてもらえない気がして。





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潮時だ



一昨日の幸せを忘れてはいけない
昨日の幸せも忘れてはいけない
私には大切な人が、ものが、記憶が、たくさんあるはずなのに
ありあまるほどあるはずなのに
なんで全部見えなくなるんだ
何度確かめても何度証明しても私はぶっ壊れているから視界に霧がかかって白む
写真みて、プリクラみて、チェキみて、切り取られた私と今の私は同一人物なんだって言い聞かせても、それでもだめだ

憐れなほどに渇望する割に何を与えられても満たされなくて稀の褒め言葉すらもむず痒い、それなら何をもってすればこの果てしない渇きは癒えるんだ

大学生になってからずっとそんなことばかり考えてた
19歳になってから秒針の音がはっきりと聞こえるようになったからだ


もう君は時間切れだよ



あなた
だれ