庇護雑記

嘘たち

球体について

 

 

ずっと隠していたことをバラしてしまった

本物の私を見たかはわからないけど、まあたぶん確認しただろう、と思う。すべての人が受け入れてくれるなんて思ってない。怖がって逃げていく人がいたとしても引き止めない。引き止める資格なんてないから。

でもやっぱり知られたくなかった。今知っている人は何人だっけ。6?わかんないや、気付いてても何も言わないでいてくれる人もいるし。そもそも隠しきれるわけがないんですけれども

 

 

一定の条件が当てはまると感情のコントロールが効かなくなる。プツンと切れたら私ではなくなる。そんな自分にはうんざりだけどそれでもどうしようもないからロラゼパムでなんとか抑えようとしてまた浸っていってしまう。一生このままかもしれない。別にそれでいいと思う。ずっとずっとこんな小さな弾をかじり続けてそれで私が正常な人間としての演技をしていけるのなら私はそれで構わない。

いつか耐性がついて、追いつかなくなって、人格を手放してしまった時がきたらわたしは自ら命を絶つだろう。本意じゃないだろうけど、結果としてはそうなるんだろう。その時受ける罰は正常な人間が命を投げ出した代償と同じなのだろうか、少しくらい、許してもらえないだろうか。

 

 

彼岸

 

 

頭の中でついにちぎれてしまった

必死に手繰り寄せていた糸が

 

 

まだ幼く清廉だったあの頃は、互いの瞳の色素を観察するだけで幸せだった。年上先輩には気をつけろ、変なウォレットチェーンなんてつけないでね、そっちこそ金髪とかにするなよ、煙草なんかもだめなんだからね、なんて約束して別の電車に乗ったらもう同じ駅になんて止まらなくて、激しく色素の抜けた髪の君の写真がTwitterにあがっていたよね。分かってたの、永遠なんてないってこと。全てのものには終わりがあるってこと、全部だよ。人が生まれて死ぬように、感情だって生まれたなら向かうのは死だよ。それがどんな類の感情だとしても。

 

大切だったはずのものが、少しずつ壊れてきて

私は見て見ぬふりをし続けてたのかもしれない。気付いてたのかもしれない心の底では。いつからか盾を構えていたし、口を開くことも少なくなった。心の中にしまいこむものが増えてきた。どうしてだろう。ずっと平気だったはずなのに。私の世界は私だけで満たせていたはずなのに。どうして、こんな風になってしまったんだろう

 

誰のせい?

 

時と環境のせいだろう。たぶん。私は意外と呆れるほどに真面目すぎて、もしかしたら期待をしすぎていたのかもしれない。夢を見すぎていたのかもしれない。期待をしなければ絶望もしない、だなんて、頭では十分理解していたはずなのに、胸に刻んでいたはずなのに、期待を捨てきれないところがあったんだ。盲点だった。ここだけは、期待しても許されると思ってた。期待と絶望は常に背中合わせだというのに。

 

失っても構わないと思った。ほんの少し、20秒くらい。失ってもいいと思うほど、私は確かに失望したのだ。なぜだか裏切られた気分だった。人間に期待する方が負けなのに、いつだって期待した側が裏切られるのに。分かってたのにどうして避けられなかったんだ。

 

理由なんて、簡単だ

幕引きは自分で出来る。どうするかは私が決める。

さようなら、ほど簡単な行為はない

 

 

 

 

 

朝の心臓が溶けていくような動悸がきついから眠るのがいやだ。いま化粧水の青い瓶が落ちて透明のキャップが割れた。

美しすぎて壊したくなるって発言したのはとても人間味を感じて好印象だった。きっとたぶん、大切に丸くして磨いて守り続けてきたものだとしても一瞬の衝動で跡形もなく壊してしまう日が来るかもしれないよ。それは誰しもがそうなんだよ。その引き金は愛の濁りだって前にも言ったじゃない

光の屈折がイコールにならなくなったとき私は私の手で大切なものを壊すでしょう。取り返しのつかないくらいにぐちゃぐちゃにしてしまうのではないかと思う。そして罪悪感で命が絶えるギリギリまで苦しみ続けるのだと思う。でもその醜いどす黒い塊こそが愛の権化だったりするんじゃないかともわたしは考えてたり、するわけで、痛みも苦しみも伴うものがきっと愛だから。美しさなんてぜんぶ嘘で塗り固めた虚像でしかないから。

 

 

 

童話

 

 

一人の少女がいました。

少女の頭の中には、幼い頃に目をじっと見つめながらナイフを握って近付いてきた乳母の顔がしっかりと焼きついていました。その瞳と銀色に光るナイフの冷たさは一瞬にして少女の五感に刻み込まれ、いつでも少女はその鋭利な痛みを鮮明に思い出すことが出来るのでした。

少女がかき集めてきた欠片をすべて放ったとき、それは少女の身代わりとなってバラバラに砕け散りました。突風が吹き抜け、鉄の塊が砕いた破片は少女の胸の奥深くへと突き刺さり、透明な血を流しながら少女は歩き始めました。

一人の王子がいました。王子は退屈な城を抜け出し、ひとりで静かな森を歩いていると、ジャラジャラという金属音が聞こえてきました。それは少女の足に絡まった鎖の音でした。少女の足に絡まったたくさんの鎖を見た王子はその少女を不憫に思い、腰に差していた剣を振りあげてその鎖の一つを断ち切ってみせました。少女は喜び、お礼に王子の望みを叶えることを約束しました。

王子の望みは、この森の奥に咲くという花を摘んでくることでした。少女はその花を摘むため手首から血を流し、毒を飲み干しては長い時間暗い森の中を歩き続けるようになりました。それはすべて王子の望んだことでした。王子のためなら、少女はなんだって耐えられる気がしました。

花を摘んできた少女に王子は銀の首飾りを与えました。それは触れただけで怪我をしてしまうほどに磨きあげられた銀の首飾りでした。少女は王子からのプレゼントを喜び、首につけようとした瞬間、あの感覚が少女を襲いました。切り裂くような冷たさと、目がくらむほどの眩しい銀色の光を直視できず、少女は気を失いました。すると王子は憤慨し、倒れた少女の足から脱げた靴を蹴り飛ばすと踵を返して城へ帰ってしまいました。

雨が降り、少女は一人ぼっちで花を摘みながら雨雲が流れていくのをひたすら待ち続けていました。何のために、誰のために花を摘んでいるのか少女は思い出すことができません。しかし少女にはそうすることしかできないのでした。厚く切れ間のない真っ黒な雲が、少女に被さろうとしていました。

それでも少女はひとりで花を摘み続けるのでした。

 

灯火

 

ちょっと悪魔やってみたら面白かった。

私わかるから、わかっちゃうから。ごめんね

何も言ってないのにわかっちゃうの不思議だなあって他人事のように思ってた。そういうの久々だから懐かしむ気分にすらなる。このままでいいのかな?いいわけがないな?でも、なんか、もうどうでもいいじゃん。ずっと私だけに優しくしてればいいから。

 

 

1年くらい治ってたのに急にぽわんと自分が離れてしまってフリーズ状態になっちゃってごめんなさいだったけど先輩たちがとても親切な人たちで助かった。偏見とかあって当たり前だと思ってたけどそんなもので苦しまなくて済みそう。課長の皆で支えていくっていう言葉がありがたすぎた。生きてていいと思えた。すこし。

 

喋った。あーゆーのってどういう意図なんですかねって。別に腑に落ちる答えが得られたわけじゃないけど若干精神的にゆとりができたのはただ言いたいだけだったんだと気付いた。言いたかっただけだ。灰になりかけた残骸が完全に灰と化す前に眼前に出したかった。ボロボロの今にも崩れそうなものの形をなんとか私以外の人間にも認識してもらいたくて、これがただのグレーの粉だなんて言われたくなくて、

きっと必死だったんだと思う

過去になる前になんとかしたかった

 

 

 

 

 

深淵

 

 

いろんな変化が起きたり新しい経験が増えた

坂道をゴロゴロボールが転がっていくみたいに毎日がめまぐるしくて正直全くついていけないし、出来ることなら自分だけの世界と空間に閉じこもる生活に戻りたい、、と思ったりもする。未だに。

 

海辺で花火をした

火花を散らしまくった後まとめて捨てようとした道具の中に転がっていたさっき買ったばかりのチャッカマンは私が拝借した

私の右手の指がひっかかっているこの引き金を引くだけで青い炎が簡単に飛び出して、全てを灰にしてくれるんだと思ったら強い味方を手にした気分になった

この青い炎も遠くの青い君も私を強くする盾だ

 

私には私にしか見えない盾がたくさんある

戦える あと少しなら