庇護雑記

嘘たち

サレンダー

 

きみのからだから生えたそれから私の指紋がみつかったら、それはわたしがきみを染めたのだという証拠になるだろう。わかりやすく罪を被るのことがわたしの役目だ。どんなに眩しくとも、深い闇の中であろうともその使命だけはわたしの遺伝子に刻み込まれていていつだってその使命に意識をこじ開けられるのだ。煮えたぎった瞳で射られるのも、吹き出したきみを浴びるのも慣れてしまった。いつしかこの不快な感覚こそがわたしを生きていることへの証明とわたしのアイデンティティを呼び起こすものとなってしまった。

正解はわからない。わからないなんて言っておきながら、わからないという言葉を選んでしまうあたりにわたしの惨めな後悔の痕が滲む。わたしの望んだことはなんだろうか。この何度も何度も振り上げてきたわたしだけの武器と、わたしのドロドロの価値を手のひらで包み込んでもらうことだったような気がする。跳ね返るきみではなくて、染み渡るきみを頭の片隅で幾度となく繰り返しては、そんなぼやけた夢を生ぬるい現実が拭い去っていった。

試してみたかっただけでは。ザクザクでボロボロにしてしまってもなお、きみからの熱を渇望してしまっていたのかもしれない。花火が引き裂かれて夜空の中に散り散りに溶け込んでいく光景を思い出して、身震いをしつつも痛い愛の破片をまた握りしめて。

青い空に突き刺す光が脳に響いて瞼を持ち上げる

 

 

無題

 

どうも。最近はチバユウスケの話ばかりしてます。

ミッシェルは前々から聴いていたけど最近ROSSOやthe birthdayも全部漁った。本当に格好いいなマジで。ミッシェルの音楽が好きなのかなと思ってたけどチバユウスケの音楽が好きみたいですね。イエモンとミッシェルがガンガンに出ていた時代があったとか、なんか信じられないや。今あの2組がいたらさぞかし楽しいだろうなと思うけど、当時自分が小学生で良かった気がする。お金と時間をどれだけ費やしていたかわからん。そして自分が男に生まれていたらチバになりたい一心でハイネケンラッキーストライクを浴びまくって身体壊してたんじゃなかろうか。南無。

近頃はあーゆーなんていうか男からの支持が厚いバンドがいなくて物足りなさも感じつつ、時代なのかなぁと思いつつ、鬱です。無事今日も落ち込んでいます。ありがとうございます。

 

人と会っても明るくできないし、標準的20代にチバユウスケの話は通じないから別の話題を探すも思い浮かばず結果黙り込んでしまうしご飯もあまり食べれないし。まぁお通夜です

先々のことを考えると恐ろしくないですか。こんな恐ろしさと戦いながら人類は生きていくのか、、?70歳くらいに病気で死ぬとしてあと50年近く何するんだろ。何十年も同じ人と一緒にいるなんて考えられないから結婚は無理だろうし当然人間を育てることも自分の精神力を踏まえるとキャパオーバーだし、労働も自分が思ってる以上に負荷がかかるようで身体おかしくなるし。生き甲斐とは???見当もつかないな

 

スタバで隣に来た女の声がまぁでかいこと、びっくりしたんだけど例の「このハゲ」と叫んだおばはん元議員にそっくりなその女は「私と付き合える条件として〜」と絶叫し始めたから人生を楽しむことの出来る人ってこういうことなんだろうなと。私は楽しめなくてもそこそこでいいです。

 

 

エンドオブ

 

すごく気持ち悪くて、頭も軋むように痛くて途中で帰った。おやつの時間に自由の身になるなんて大学生以来で、なんとなく本を読みたくなって駅前の本屋で適当に短編集を買った。具合が悪いことをあまり認めたくなくて、隣の喫茶店に入る。いつものおじいさんがレジを打つ。何時に行ってもこのおじいさんがレジに立っている。一度深夜に訪れたことがあるけど、その時もこのおじいさんだった。何時間労働?

さっき適当に手に取った短編集の1作目の登場人物が、自分と同じ苗字である偶然に驚いた。比較的珍しい自分の苗字を目にするとドキリとする。突然降ってきた、映画やドラマでありそうなシチュエーションに思わず顔をあげレジのおじいさんの顔を確認する。穏やかな表情でコーヒーを淹れていた。

短編なのですぐに読み終わる。私と同じ苗字の奴は、幽霊であったというオチだった。幽霊って。少なくともいまの私に突きつけるファンタジーじゃないだろ。ここでもバッドエンドの主人公に引っ張り出される自分に笑う。物語の中ですら救われないという事実に吐き気がまた込み上げてきて店を出た。店の前には遮断機と、その向こうを猛スピードで走る特急列車、ドラッグストア、スーパー。引き寄せられるように遮断機の横に立ちぼんやりと列車を眺める。警告音がイヤホンの音楽をかき消して現実に引き戻す。夢みたいな現実で目の前が歪む。あたまいたい

 

いつでも死ねるな、と思ったら悔しくて泣きそうになった。スーパーで夜ご飯を買って小銭を減らした。脈が乱れているのはもう慣れたけど、乱れるぐらいならもう諦めてほしいんだよ、私は。ご飯の入った袋を手に提げて歩く。リサイクル待ちのペットボトルたちが緑の網の中にいるのが目に入って、なんとなくその塊を蹴飛ばした。中身が飛ばないように無意識のうちに力加減をしていた自分がつまらなかった。後ろを振り返ったけども、誰もいなかった。せめて誰か見ていたらよかったのに。誰も見てない悪事なんて、本当にただの悪事になってしまうじゃないの。

 

結局ずっとこうだ。色んなことから色が消えていくのがわかる。おなかがすく、とかもよく分からなくなってきた。傷の痛みと不調だけがはっきりと自分に訴えてくるの腹が立つな。

自分だけのものにしておくのは苦しくて、小さく爆弾を仕掛ける。ねむたい

 

 

エクストリームロマンス

 

 

曽根崎心中で、心中こそが究極の愛だと訴えて現代でも語り継がれているあたり真理であったりするのだろうなと思うし、自分もそう考えるところがある。

 

噛み合わなくて金属疲労を起こして崩れつつあった人生の歯車が一気に修復されて勢いよく回り始めて、ここからだ、と思った矢先に果たして私はこれで正しいのだろうか、と自ら歯車に金属を差し込んで一旦止めてしまった

正論というものは、いつだって正しいと言えるのだろうか。どんな状況下に置かれているかを加味したとしても、?

 

 

ふたりでマンションの屋上までのぼって貯水タンクまでグミチョコレートパイン、白いはしごに手をかけて手すりを乗り越えて、グミチョコレートパインしよう。次はグーだよ、知ってるよ、あいこでしょあいこでしょ。このままずっとあいこだよ。ずっと一緒だよ。せーの、あいこでしょ

私よりも先にコンクリートに引き寄せられるあなたの額が弾け飛ぶ1秒前に時を止められるような、そんな気がしてたんだ。そんな気がしてたから、どんなに破滅的でも絶望的でも、私はなんとかなるって信じることが出来た。魔法使いとか、超能力者とか、それくらい簡単になれると思ってた。その気になれば私は全てを操ることが出来る、私とあなただけの世界だって簡単に

 

あの大地震が起きた時、私は首都圏だから大きな被害は受けなかったけれどもかなりの揺れを経験したわけで、家のあらゆるものたちがぶつかる音とまるで生きているかのように激しく動くマンションは全く私の言うことを最後まで聞いてくれなくて、止まれ、止まれって心底本気で念じたのにどうしようもできなかったことが私を魔法使いでも超能力者でもないただの人間であることを思い知らせた。怖かった。想像以上に人間が無力であることが。

 

一緒にグミチョコしてあいこで一緒に地面を蹴飛ばしても、私は時を止められない。さいきょうのふたりだとしても、結局はただの人間だから重力に引っ張られて弾けて終わりだ。セカイ系ならいくらでも時を止めることだって巻き戻すことだって出来るけど、残念ながら私たちは人間であって

 

あなたのため、が自己満足であることなんていくらでもあると思う。ただそれを自覚していないから、あるいはゆがんだ、すれ違った認識をしているから、だから人間は、上手くいかないのだろうな

人間じゃなければ、さいきょうだったのに

 

 

溶けた電球

 

 

暗がりを売りにする洒落たレストランで、大量に吊り下がっている電球のひとつひとつを見ながら話を少しずつ聞き流していた

右から左にただ抜けていくわけではない。

右から左に香りながら抜けていくのです

この二つの違いがわからない人が多すぎるから、わたしは微妙にほほえみながら聞き流しているわけです

声の香りが分かりますか、私にはわかるんです

だからこそ嫌なことも辛いこともたくさんあった、私にしかわからないあれやこれやが。

 

熱にやられて電球がぐにゃりと曲がって、歪んだ光がたれてくるのを横目に食べるエビとオリーブオイルの料理は格別だったように記憶している

目の先に漂うその香りは、嫌いではありませんでした

 

僕は君のもの

君は僕のもの じゃない

僕は君のもの 君のもの、としての僕

君だけの僕がここにいる

僕だけの君はどこにもいない

君は誰のもの

君は誰のものでもない

僕は誰のもの

僕は

 

 

 

 

今はなにもしたくない

好きなことも出来なくなってる

好きなものがどうでもよくなってしまった

特にこれといった理由はないけど

時間が止まってくれないから、私をこんな目に遭わせる

昔から手に入れなければ気が済まなかった

手に入れられないものなんてなかった

手に入らないもの、なんてものはなかったのに

未来だけがいつまでもくたばってくれない

私の言うことを聞かずにひらりと身をかわして

私の手の中で蹲ってくれないから

だから私はあの溶けたドロドロの光を無理やり掴んで、高温で掌を焼きながら微笑んでる

 

 

 

球体について

 

 

ずっと隠していたことをバラしてしまった

本物の私を見たかはわからないけど、まあたぶん確認しただろう、と思う。すべての人が受け入れてくれるなんて思ってない。怖がって逃げていく人がいたとしても引き止めない。引き止める資格なんてないから。

でもやっぱり知られたくなかった。今知っている人は何人だっけ。6?わかんないや、気付いてても何も言わないでいてくれる人もいるし。そもそも隠しきれるわけがないんですけれども

 

 

一定の条件が当てはまると感情のコントロールが効かなくなる。プツンと切れたら私ではなくなる。そんな自分にはうんざりだけどそれでもどうしようもないからロラゼパムでなんとか抑えようとしてまた浸っていってしまう。一生このままかもしれない。別にそれでいいと思う。ずっとずっとこんな小さな弾をかじり続けてそれで私が正常な人間としての演技をしていけるのなら私はそれで構わない。

いつか耐性がついて、追いつかなくなって、人格を手放してしまった時がきたらわたしは自ら命を絶つだろう。本意じゃないだろうけど、結果としてはそうなるんだろう。その時受ける罰は正常な人間が命を投げ出した代償と同じなのだろうか、少しくらい、許してもらえないだろうか。

 

 

彼岸

 

 

頭の中でついにちぎれてしまった

必死に手繰り寄せていた糸が

 

 

まだ幼く清廉だったあの頃は、互いの瞳の色素を観察するだけで幸せだった。年上先輩には気をつけろ、変なウォレットチェーンなんてつけないでね、そっちこそ金髪とかにするなよ、煙草なんかもだめなんだからね、なんて約束して別の電車に乗ったらもう同じ駅になんて止まらなくて、激しく色素の抜けた髪の君の写真がTwitterにあがっていたよね。分かってたの、永遠なんてないってこと。全てのものには終わりがあるってこと、全部だよ。人が生まれて死ぬように、感情だって生まれたなら向かうのは死だよ。それがどんな類の感情だとしても。

 

大切だったはずのものが、少しずつ壊れてきて

私は見て見ぬふりをし続けてたのかもしれない。気付いてたのかもしれない心の底では。いつからか盾を構えていたし、口を開くことも少なくなった。心の中にしまいこむものが増えてきた。どうしてだろう。ずっと平気だったはずなのに。私の世界は私だけで満たせていたはずなのに。どうして、こんな風になってしまったんだろう

 

誰のせい?

 

時と環境のせいだろう。たぶん。私は意外と呆れるほどに真面目すぎて、もしかしたら期待をしすぎていたのかもしれない。夢を見すぎていたのかもしれない。期待をしなければ絶望もしない、だなんて、頭では十分理解していたはずなのに、胸に刻んでいたはずなのに、期待を捨てきれないところがあったんだ。盲点だった。ここだけは、期待しても許されると思ってた。期待と絶望は常に背中合わせだというのに。

 

失っても構わないと思った。ほんの少し、20秒くらい。失ってもいいと思うほど、私は確かに失望したのだ。なぜだか裏切られた気分だった。人間に期待する方が負けなのに、いつだって期待した側が裏切られるのに。分かってたのにどうして避けられなかったんだ。

 

理由なんて、簡単だ

幕引きは自分で出来る。どうするかは私が決める。

さようなら、ほど簡単な行為はない