庇護雑記

嘘たち

まわる

真夏の高校 体育館の暑さとか
リプトンの紙パック500ml バレーボールが飛んできて中身がこぼれる
誰かのジャージが積み重なったロッカーの上埋もれるリラックマのぬいぐるみ並べられた赤本
中庭の木陰 風で散らばるトランプ
ねえサフランって何時までだっけ
誰かが私の名前を呼んでる
だれ

けたたましく朝が訪れる
視界に流れ込む水色 絶望の朝
弾丸が貫いていった
透明の血がだらだら流れていく
でも誰も気付かない 本物の血を吐かない限り誰も気付けない
小指の赤い糸で首を吊らないでよ
手首に白いビニール紐を巻きつけて結びつけたって本物にはなれない
ハサミでチョキンそれだけでさよなら

世界が遠くなる白い靄に包まれてく
肩にぶつかったあの男の感触もない
今何時だっけ何時でもいい
このリンゴを投げたとしたら世界は変わる
少しだけ動き出すことを期待してリンゴの爆弾をバッグに詰め込む
みかんでもいいよぶどうでも
なんでもいいよ簡単に動き出すから
そんなもんだよ世界なんて脆いんだから
人の作り出したものなんだから

真夏の高校 体育館の暑さとか
リプトンの紙パック500ml バレーボールが飛んできて中身がこぼれる
誰かが私の名前を呼んでる
行かなきゃ

水色だ、うるさい朝だ
気味の悪い世界の繰り返し
このリンゴ一つが世界を変えてくれる
だけど投げられない
手首のビニール紐が邪魔で

真夏の高校 体育館の暑さとか
リプトンの紙パック
500ml

嫌だ来ないで行きたくない
世界なんてどうでもいい
Uターンしよう この先は行き止まりだから

真夏の高校 体育館の暑さとか

真夏の