庇護雑記

嘘たち

ゆめ



強く手を引かれるがまま
深くて濃い緑の果てまで
鋭角の蔦を足首に引っ掛けながら
お揃いの幾何学模様を作って

戻ることなんてできないね
こんなところまで迷い込んでしまったら
でもこれがずっと望んでたものでしょ

幸せだねって泣いてる
小雨に薄められて笑ってる
暗い緑の中で溺れてる
この世で唯一の幸せ

やっとどこまでも行ける
全てのしがらみから解放されて
景色の全てを目に焼き付けられる
邪魔なものは消しゴムで消してあげる
脳裏に貼りついたカーマインも
全部剥いであげるから
生温い重みは切り刻んであげる
淡い色の砂糖で空白を埋めて

小窓をこじ開ける透明の輪っか
柔らかい生花の首飾り
滴る哀しみ慈しみ落ちる雷
右肩 紫の栞
千切れる管
塗りつぶされる夢
掠れてく声
白目の淵に咲いた愛