庇護雑記

嘘たち

彼岸

 

 

頭の中でついにちぎれてしまった

必死に手繰り寄せていた糸が

 

 

まだ幼く清廉だったあの頃は、互いの瞳の色素を観察するだけで幸せだった。年上先輩には気をつけろ、変なウォレットチェーンなんてつけないでね、そっちこそ金髪とかにするなよ、煙草なんかもだめなんだからね、なんて約束して別の電車に乗ったらもう同じ駅になんて止まらなくて、激しく色素の抜けた髪の君の写真がTwitterにあがっていたよね。分かってたの、永遠なんてないってこと。全てのものには終わりがあるってこと、全部だよ。人が生まれて死ぬように、感情だって生まれたなら向かうのは死だよ。それがどんな類の感情だとしても。

 

大切だったはずのものが、少しずつ壊れてきて

私は見て見ぬふりをし続けてたのかもしれない。気付いてたのかもしれない心の底では。いつからか盾を構えていたし、口を開くことも少なくなった。心の中にしまいこむものが増えてきた。どうしてだろう。ずっと平気だったはずなのに。私の世界は私だけで満たせていたはずなのに。どうして、こんな風になってしまったんだろう

 

誰のせい?

 

時と環境のせいだろう。たぶん。私は意外と呆れるほどに真面目すぎて、もしかしたら期待をしすぎていたのかもしれない。夢を見すぎていたのかもしれない。期待をしなければ絶望もしない、だなんて、頭では十分理解していたはずなのに、胸に刻んでいたはずなのに、期待を捨てきれないところがあったんだ。盲点だった。ここだけは、期待しても許されると思ってた。期待と絶望は常に背中合わせだというのに。

 

失っても構わないと思った。ほんの少し、20秒くらい。失ってもいいと思うほど、私は確かに失望したのだ。なぜだか裏切られた気分だった。人間に期待する方が負けなのに、いつだって期待した側が裏切られるのに。分かってたのにどうして避けられなかったんだ。

 

理由なんて、簡単だ

幕引きは自分で出来る。どうするかは私が決める。

さようなら、ほど簡単な行為はない