庇護雑記

嘘たち

サレンダー

 

きみのからだから生えたそれから私の指紋がみつかったら、それはわたしがきみを染めたのだという証拠になるだろう。わかりやすく罪を被るのことがわたしの役目だ。どんなに眩しくとも、深い闇の中であろうともその使命だけはわたしの遺伝子に刻み込まれていていつだってその使命に意識をこじ開けられるのだ。煮えたぎった瞳で射られるのも、吹き出したきみを浴びるのも慣れてしまった。いつしかこの不快な感覚こそがわたしを生きていることへの証明とわたしのアイデンティティを呼び起こすものとなってしまった。

正解はわからない。わからないなんて言っておきながら、わからないという言葉を選んでしまうあたりにわたしの惨めな後悔の痕が滲む。わたしの望んだことはなんだろうか。この何度も何度も振り上げてきたわたしだけの武器と、わたしのドロドロの価値を手のひらで包み込んでもらうことだったような気がする。跳ね返るきみではなくて、染み渡るきみを頭の片隅で幾度となく繰り返しては、そんなぼやけた夢を生ぬるい現実が拭い去っていった。

試してみたかっただけでは。ザクザクでボロボロにしてしまってもなお、きみからの熱を渇望してしまっていたのかもしれない。花火が引き裂かれて夜空の中に散り散りに溶け込んでいく光景を思い出して、身震いをしつつも痛い愛の破片をまた握りしめて。

青い空に突き刺す光が脳に響いて瞼を持ち上げる