庇護雑記

嘘たち

S a B

 

思えばもう2018年が終わるじゃないか。私にとってのスクラップアンドビルドが行われまくった1年だった。あれほど何かを失うことは怖いと思っていたはずなのに、それこそ取るに足らないものですら何ひとつこぼさぬようにと思っていたはずなのに、案外あっさりと手放し壊し消し去った。

向かいの交差点でひっそりと営業を続けていたタバコ屋がいつのまにか取り壊され、年明けからコンビニに生まれ変わるそうだ。壊されて更地になったところに新しく創造されるものがあるのは古今東西どこでも同じことだ。

新しい人間たちに取り囲まれたわたしは初めて客観的な目を得た気がした。彼らの眼に映るわたしがどのような造形をしているか、ということに対して、どうやらわたしはずっとねじ曲がった考えを持っていたみたいだった。認められたかったことを少し認められた。ほしかったもののいくつかを手に入れた。恒久的ではないにしろ、わたしはそこそこに満足している。なぜなら恒久的ではないということに対しての納得がいっているからだ。

 

けれどももっとほしいものがある、絶対に掴みたいものがある。曲げられないものは曲げられない、そうやって生きてきたし、生きてこれた。わたしは変わらずに生きていく。最近はちょっと貪欲になってきた。ほしいものはどんな手を使ってでも手に入れたい。どれだけの努力を必要とするかなんて分からないけれども、意外とわたしは好きなものに対する努力は苦にならないようだった。隣にはスフィンクスが眠っている。スフィンクスを筆頭とする愛おしい存在のために、とりあえず明日も生命の活動を続けていく。