庇護雑記

嘘たち

褪せる

記憶を突き放すことができない
冷たい水の上を跳ねていった石
木陰で出来たモザイクに重なる影
涼しい風に揺れる黒い前髪
握りつぶせないじゃがいも
吹きこぼれて消えるコンロの青い火

夢みたい 夢みたいな現実
私だけに笑ってくれたこと泣いてくれたこと
あのひとつひとつは私の目だけが見て私の耳だけが聞いたものだ。あの瞬間だけはどれだけの時が過ぎようとも私だけのものだ。
色素の薄い、琥珀みたいな綺麗な目をしてた
それと触れたら消えてしまいそうな儚さ

揺蕩ってる
コーヒーにミルクを入れて撹拌せずにゆらゆらマーブル模様になってく過程をみるのが好き
でもね私知らなかったんだ
角砂糖を入れないとミルクを入れてもコーヒーは苦いままなんだね。冷静に考えたら当たり前だよね。カフェラテってあんなに砂糖入ってたんだ。私お砂糖持ってなかった。

白詰草の冠は作れなかった
私は18歳といえどほんっとに子供で
なのに子供のくせに編み方もわからなかった
あの時の私は何もできなかった なんにも

箱の中に綺麗に並べて鍵をかけて
それでその鍵はもう海に投げちゃおう
私は泳げないから 回れ右して歩くしかないや
一緒に海の中を歩いてみる?
海水は冷たくて塩辛いからやめておこうか
箱は私の中に大切にしまっておく
もう二度と開けられないから
赤いリボンをかけて可愛くしてあげる
絶対解けないくらいに固く結んで
いつまでも私の頭の片隅の秘密としてとっておくね

もし波の中私を目で捉えることが出来たなら
それはそれは素敵なことですね。
そこで物語は完結かな
それ以上は美しくないから