庇護雑記

嘘たち

ゆめ



強く手を引かれるがまま
深くて濃い緑の果てまで
鋭角の蔦を足首に引っ掛けながら
お揃いの幾何学模様を作って

戻ることなんてできないね
こんなところまで迷い込んでしまったら
でもこれがずっと望んでたものでしょ

幸せだねって泣いてる
小雨に薄められて笑ってる
暗い緑の中で溺れてる
この世で唯一の幸せ

やっとどこまでも行ける
全てのしがらみから解放されて
景色の全てを目に焼き付けられる
邪魔なものは消しゴムで消してあげる
脳裏に貼りついたカーマインも
全部剥いであげるから
生温い重みは切り刻んであげる
淡い色の砂糖で空白を埋めて

小窓をこじ開ける透明の輪っか
柔らかい生花の首飾り
滴る哀しみ慈しみ落ちる雷
右肩 紫の栞
千切れる管
塗りつぶされる夢
掠れてく声
白目の淵に咲いた愛



あおぞら



なんか。
まあ不安に決まってるよね当たり前だよね
笑ってる自分が嫌いだ
おまえ、わらうなよ、なんて思ってしまう



例えば誰にでも好かれる明るくてかっこいい男の子がいたとしてその子が口を開かない限りは親の負債を押し付けられて夜逃げまわって売り飛ばされそうになった過去をその道化の姿から想像するなど全くの不可能だよね
あるいは華やかでキラキラした女の子が完全に愛の冷め切った環境で育ってきて、過去に飲んだガソリンと口が切れた時の血の味を今でも鮮明に覚えてるだなんて、きっとその彼女を演じている限りは誰も知る由もないよね
たくさんの人がいてそれと同数の表の顔があってそれ以上に裏の顔があってそこに内包されているものは数え切れないほどの嘘嘘嘘嘘嘘
みんな嘘ついてるでしょう
知らない方がいい嘘

世界の構造を考えるとそれぞれの意識の数だけミルクレープ状に薄く重なってるように思える、気持ち悪くなってきた
私の目玉を通した世界が青だとするならば向かいのあの人はグリーンで、あの子はピンクあの人はオレンジ先生は赤きみは紫、みたいにみえてるかもしれないよ?世界が何色かだなんて確かめるには他者の意識の中に入り込むしか方法はないけどそんなの不可能で、それなのにたくさんの人が同じ星にて酸素吸って太陽と月を繰り返し眺めてる、なんだか怖い
ミルクレープの上のイチゴになりたいなら世捨て人になればいい、きみは立派なイチゴだ。でも大抵のミルクレープにはイチゴなんて乗ってませんけどね。

弾かれたら終わり、な世の中でどうやって生きていくつもりなんだきみは?いつまで足枷を外せずに鎖を引きずってんだよって話だよね
どこまでも孤独ならばその穴を埋めるだけの力を持たねばならないのに何も持ってないじゃないかバカか?
銃を取れ、なんて表現をしたら頭脳警察を思い出しますけれども私が銃なんてぶっ放そうものなら反動で腕折れる痛いの嫌だ


何の話だかわからない?
私だってわからんわ勢いで打ってるからな



ただめっちゃ辛いんで、めっちゃ苦しいんで、指が動くままにスマホを虐待してるんだよね予測変換が物騒でごめんなiPhone5c

なんでつらいの?なにがくるしいの?
って考えると目を背け続けたこの感情の塊に躓くんだよなやっぱり。乗り越えられそうな気配は全く感じられないので多分私は長生きできないと思います、あ、今すぐとかそういうわけじゃないから大丈夫ですけど、でも押しつぶされて耐えられなくていつか散らばるんじゃないかって思う、いろんな人から生きろとか、長生きしてとか、絶対死ぬなとか言ってもらって本当に嬉しいんだけど何も見えなくなった時その人たちの顔と声を思い出すことができるかな、できなかったらごめんね



でも私頑張ったと思うの
自分の尺度でしかはかれないけど
自分で頑張ったとかいうのダッサイけど
情けないけどめっちゃ甘ったれだけど
22年頑張ったと思うの
こんなことを考えてると勝手に感情の水滴が零れ落ちるんですよね気持ち悪いな、感情の息の根を止めてやりたいわ

私花マルがほしい
よくがんばりましたって花マルをもらえてたあの頃が遠ざかっていってもう私は二度と誰からも花マルなんてもらえない気がして。





xmscra



潮時だ



一昨日の幸せを忘れてはいけない
昨日の幸せも忘れてはいけない
私には大切な人が、ものが、記憶が、たくさんあるはずなのに
ありあまるほどあるはずなのに
なんで全部見えなくなるんだ
何度確かめても何度証明しても私はぶっ壊れているから視界に霧がかかって白む
写真みて、プリクラみて、チェキみて、切り取られた私と今の私は同一人物なんだって言い聞かせても、それでもだめだ

憐れなほどに渇望する割に何を与えられても満たされなくて稀の褒め言葉すらもむず痒い、それなら何をもってすればこの果てしない渇きは癒えるんだ

大学生になってからずっとそんなことばかり考えてた
19歳になってから秒針の音がはっきりと聞こえるようになったからだ


もう君は時間切れだよ



あなた
だれ



にがい


もうやめよう

得意でしょハサミ
ばっつんばっつん切っていいよ
絡まってるもの全部ちょん切っていいよ
あ、青色だけは避けてね
爆発して一緒に吹っ飛んじゃうよ


緑のアイスが好きだって言ったじゃない
何にも覚えてないんだから
トムヤムクンだけは大丈夫だったって
エビが入ってるから大丈夫って
ネギは入れないでって
パクチーなんて以ての外だって
ねえ、なんで



もーいいかい
まーだだよ
まーだだよ

もーいいかい



まだだよ



21年目、まだみえます視界良好ですそれが辛いです嫌なものたくさん見えます
21年生きたけど今の私は4代目だからまだ4歳になったばかりなんですやめてください
どうしてずっと透き通っていられないの
なんで私のこと人間にしてくれなかったの
やっぱりこれだな
私が息苦しい30%はこれだなあ
ずるいね
綿あめ喉の奥まで突っ込んであげるよ
私と綿あめどっちが先に溶けるかな
涙のせいで私の方がたぶん早いね


がんばってよ
私はもう頑張りたくないよ



SNSなんかみたってね
私の4%くらいしかわからないよふふ



きょう、み、ない、以上


混雑

 

物語は一般的にハッピーエンドが好まれる。多くのフィクションにはハッピーエンドが用意されている。主人公に選ばれた人は様々な困難を乗り越え、ゴールのハッピーエンドを手にする。そして感動的な音楽とともにエンドロールが流れる。万人が納得、満足する結末。ぬるま湯みたいなハッピーエンド。そんなぬるま湯のために、冷水を浴び犠牲になる人々がいる。

物語には脇役がつきものだ。主人公の座を与えられなかった人々は自動的に脇役となり、彼らの多くは意に添わない悲劇的な結末を受け入れることを強いられる。そして脇役たちは痛い辛い結末を拒否することは出来ない。なぜならそれが、主人公がハッピーエンドになるための絶対条件であり物語を完結させるための必要条件であるからだ。幸せになる人がいる一方で必ず不幸な人が生まれる。窓を開ければ一握りの幸せと、それを支える大多数の不幸で成り立っている

私がどちらかだなんて、言うまでもない

 

ハッピーエンドが苦手だった。作り物、虚飾感、嘘偽りの香り。上澄みだけを掬ってきれいだね、きれいだねって言って、それを生成するために存在していたはずなのに今ガラス瓶の下に沈殿しているあの塊は一体何のために、そんな声すらも届かずに捨てられる、燃やされる灰になる

全人類が幸せになるなんてそんなことは空と海がひっくり返ろうが絶対に起こりえないことだ。夢物語、絵空事。主人公に撃ち殺された悪に手を染めた奴ら、彼らがなぜその手を悪に浸さなければならなかったのかだなんて描かれることはない。誰も興味がないからだ。傍観者たちは主人公が幸せになれば、それだけで十分、身体の3箇所を撃ち抜かれて血を吐いて死んだやつのことなんて、興味がないのだ。興味がない、それだけで切り捨てられたものが山のように積み重なっていく

積み重ねていった私、積み重ねられていった私、自分だってわかってる、そして見えてる、今私の手に握られてるものが何なのかくらい。カミソリなのかキャンディなのかスパナなのかチョコレートなのか

両手いっぱいに相反するものを抱えて私はこれからどこにいく?一歩歩くとボロボロこぼれていくピンク黄色水色白黄緑オレンジ

煙みたいに消えてく私の存在を示せるのはこのこぼれたキャンディ全然甘くないキャンディ

拾って口に詰め込んだならば喉を詰まらせて息が苦しくなる

ぶっ倒れてねえ助けてって そんな風にしか生きられなかった私

転がってくる赤い飴玉毒々しい色をした飴玉 舌を痺れさせ目の前が遠くなっていく

あれは飴なんかじゃない、毒だ

だけどずっとそれが欲しかったんでしょ


まわる

真夏の高校 体育館の暑さとか
リプトンの紙パック500ml バレーボールが飛んできて中身がこぼれる
誰かのジャージが積み重なったロッカーの上埋もれるリラックマのぬいぐるみ並べられた赤本
中庭の木陰 風で散らばるトランプ
ねえサフランって何時までだっけ
誰かが私の名前を呼んでる
だれ

けたたましく朝が訪れる
視界に流れ込む水色 絶望の朝
弾丸が貫いていった
透明の血がだらだら流れていく
でも誰も気付かない 本物の血を吐かない限り誰も気付けない
小指の赤い糸で首を吊らないでよ
手首に白いビニール紐を巻きつけて結びつけたって本物にはなれない
ハサミでチョキンそれだけでさよなら

世界が遠くなる白い靄に包まれてく
肩にぶつかったあの男の感触もない
今何時だっけ何時でもいい
このリンゴを投げたとしたら世界は変わる
少しだけ動き出すことを期待してリンゴの爆弾をバッグに詰め込む
みかんでもいいよぶどうでも
なんでもいいよ簡単に動き出すから
そんなもんだよ世界なんて脆いんだから
人の作り出したものなんだから

真夏の高校 体育館の暑さとか
リプトンの紙パック500ml バレーボールが飛んできて中身がこぼれる
誰かが私の名前を呼んでる
行かなきゃ

水色だ、うるさい朝だ
気味の悪い世界の繰り返し
このリンゴ一つが世界を変えてくれる
だけど投げられない
手首のビニール紐が邪魔で

真夏の高校 体育館の暑さとか
リプトンの紙パック
500ml

嫌だ来ないで行きたくない
世界なんてどうでもいい
Uターンしよう この先は行き止まりだから

真夏の高校 体育館の暑さとか

真夏の