庇護雑記

嘘たち

炭火の消し方を君は知らない

 

知ってます?

水かけてもいいけど他の方法あるんだよ

 

ライブを観たあと空腹に耐えかねて渋谷のマックに初めて入った。絶対綺麗じゃないだろうなって思ってたからよっぽどのことがない限り入ろうなんて思わないのに、よっぽどがこんなにあっさり訪れるとは思わなかった。

2階の窓の外を臨む席でぼんやり人の往来を眺めつつ向かいの牛串屋さんの炭火をみてた。おじさんが炭の処理をしているところだった。あの消し方って一般的なのかな。確かに毎日使うのに水ぶっかけるのは実用的じゃないよね

 

渋谷のど真ん中にある名の知れたライブハウスで、半端なくカッコいい音楽がなされた瞬間に私は立ち会わせていたんですが

外はこのバンドの音楽のイントロすらも知らない人で溢れかえっているわけです、そんな人々に囲まれながら私たちは秘密の遊びに興じてるわけです、最高じゃないですか。ある種のテロリズムを感じてやっぱり私はこういうのが好きなんだと再確認した。ソールドアウトはしなかったあのライブを私は噛み締めたという幸せ、君はわかるかな

 

みんな気付いてるか、もう一生席替えのくじを引く時のドキドキは味わえないし、メールの返信を待ちかねてやるセンター問い合わせももう存在しない。生を重ねるということは何かを失い続けるということだ。得ることもあるけれど、圧倒的に喪失の方が多い。その証拠に日々、命の期限をひとつずつなくしているわけで

得られなくなる前に欲しがっておいた方がいい、逃す前に捕まえておいた方がいい。知らないより知っていた方がいい。その瞬間に後悔したとしても傷ついたとしても、私はやっぱり知りたいと思うことは知っておきたいと思うのです

 

渋谷のマックでシェイクを吸うパリピ風の男が「幸せがほしい」と大きな声で言っていて、私とこんなにも正反対の人でも最後に欲しがるものは同じなのだということに笑えた。たまたま操作ミスをしてイヤホンが黙り込んだ瞬間に飛び込んできた声だった。知ろうとも思わなかったことが目の前に降ってきて、その瞬間心がどう動くか、なんて今まで知らなかった。

 

私の欲しいもの、君は知っているかな

 

 

ひかり

 

10年前のきみの禍根は今でも美しくて、長い眠りから醒めた直後でもその圧倒的な煌めきが失われていないことに絶望した。

2018年が刻まれ始めたこの世界で、きみが焼きつけて煤だらけになった過去ですらも私を捕まえて離してくれないことに嫌気が差したからだった。どうしようもないきみが見つけ出した私も、どうしようもないのだ。

 

きみは本当にどうしようもなくて、救いようもなかった。だけど私の頭の上へと投げてくるきみの数秒前の思考はいつも私を驚かせたし楽しませてしまった。チカチカと色を変えるきみの目は憎たらしいほどに無邪気で、その指が弾いて散らした火花はなによりも綺麗だったから、私はもうなんだってよかった。

繁華街を歩きながら、大きな麻の香りに気がついてもなにも言わなかった。ふつうのひとはね、これがなんの香りかだなんてわからないんだよ。だから得意げな顔をするのはこの一瞬だけだからね。酩酊した学生を笑いながらネオンを駆けていく姿を後ろから眺めて、なんだか香港の映画みたいだと思った。小指に絡んだ細く白い煙があればどこまででも走っていけるような気がした。

 

君が両手では抱えきれずに、今にも破裂しそうだった風船がきみを飲み込んで真っ黒に染めてしまっても、私は白に塗り潰して煙をきつく結んでしまう。きみが闇から逃れようと足掻いて、雨に濡れ溺れて、手のひらを藁で切りながら迷子になったとしても、私は小指から狼煙を上げてしまうだろう。

新しい夜明けが追いついてくれるまで。

 

 

サレンダー

 

きみのからだから生えたそれから私の指紋がみつかったら、それはわたしがきみを染めたのだという証拠になるだろう。わかりやすく罪を被るのことがわたしの役目だ。どんなに眩しくとも、深い闇の中であろうともその使命だけはわたしの遺伝子に刻み込まれていていつだってその使命に意識をこじ開けられるのだ。煮えたぎった瞳で射られるのも、吹き出したきみを浴びるのも慣れてしまった。いつしかこの不快な感覚こそがわたしを生きていることへの証明とわたしのアイデンティティを呼び起こすものとなってしまった。

正解はわからない。わからないなんて言っておきながら、わからないという言葉を選んでしまうあたりにわたしの惨めな後悔の痕が滲む。わたしの望んだことはなんだろうか。この何度も何度も振り上げてきたわたしだけの武器と、わたしのドロドロの価値を手のひらで包み込んでもらうことだったような気がする。跳ね返るきみではなくて、染み渡るきみを頭の片隅で幾度となく繰り返しては、そんなぼやけた夢を生ぬるい現実が拭い去っていった。

試してみたかっただけでは。ザクザクでボロボロにしてしまってもなお、きみからの熱を渇望してしまっていたのかもしれない。花火が引き裂かれて夜空の中に散り散りに溶け込んでいく光景を思い出して、身震いをしつつも痛い愛の破片をまた握りしめて。

青い空に突き刺す光が脳に響いて瞼を持ち上げる

 

 

無題

 

どうも。最近はチバユウスケの話ばかりしてます。

ミッシェルは前々から聴いていたけど最近ROSSOやthe birthdayも全部漁った。本当に格好いいなマジで。ミッシェルの音楽が好きなのかなと思ってたけどチバユウスケの音楽が好きみたいですね。イエモンとミッシェルがガンガンに出ていた時代があったとか、なんか信じられないや。今あの2組がいたらさぞかし楽しいだろうなと思うけど、当時自分が小学生で良かった気がする。お金と時間をどれだけ費やしていたかわからん。そして自分が男に生まれていたらチバになりたい一心でハイネケンラッキーストライクを浴びまくって身体壊してたんじゃなかろうか。南無。

近頃はあーゆーなんていうか男からの支持が厚いバンドがいなくて物足りなさも感じつつ、時代なのかなぁと思いつつ、鬱です。無事今日も落ち込んでいます。ありがとうございます。

 

人と会っても明るくできないし、標準的20代にチバユウスケの話は通じないから別の話題を探すも思い浮かばず結果黙り込んでしまうしご飯もあまり食べれないし。まぁお通夜です

先々のことを考えると恐ろしくないですか。こんな恐ろしさと戦いながら人類は生きていくのか、、?70歳くらいに病気で死ぬとしてあと50年近く何するんだろ。何十年も同じ人と一緒にいるなんて考えられないから結婚は無理だろうし当然人間を育てることも自分の精神力を踏まえるとキャパオーバーだし、労働も自分が思ってる以上に負荷がかかるようで身体おかしくなるし。生き甲斐とは???見当もつかないな

 

スタバで隣に来た女の声がまぁでかいこと、びっくりしたんだけど例の「このハゲ」と叫んだおばはん元議員にそっくりなその女は「私と付き合える条件として〜」と絶叫し始めたから人生を楽しむことの出来る人ってこういうことなんだろうなと。私は楽しめなくてもそこそこでいいです。

 

 

エンドオブ

 

すごく気持ち悪くて、頭も軋むように痛くて途中で帰った。おやつの時間に自由の身になるなんて大学生以来で、なんとなく本を読みたくなって駅前の本屋で適当に短編集を買った。具合が悪いことをあまり認めたくなくて、隣の喫茶店に入る。いつものおじいさんがレジを打つ。何時に行ってもこのおじいさんがレジに立っている。一度深夜に訪れたことがあるけど、その時もこのおじいさんだった。何時間労働?

さっき適当に手に取った短編集の1作目の登場人物が、自分と同じ苗字である偶然に驚いた。比較的珍しい自分の苗字を目にするとドキリとする。突然降ってきた、映画やドラマでありそうなシチュエーションに思わず顔をあげレジのおじいさんの顔を確認する。穏やかな表情でコーヒーを淹れていた。

短編なのですぐに読み終わる。私と同じ苗字の奴は、幽霊であったというオチだった。幽霊って。少なくともいまの私に突きつけるファンタジーじゃないだろ。ここでもバッドエンドの主人公に引っ張り出される自分に笑う。物語の中ですら救われないという事実に吐き気がまた込み上げてきて店を出た。店の前には遮断機と、その向こうを猛スピードで走る特急列車、ドラッグストア、スーパー。引き寄せられるように遮断機の横に立ちぼんやりと列車を眺める。警告音がイヤホンの音楽をかき消して現実に引き戻す。夢みたいな現実で目の前が歪む。あたまいたい

 

いつでも死ねるな、と思ったら悔しくて泣きそうになった。スーパーで夜ご飯を買って小銭を減らした。脈が乱れているのはもう慣れたけど、乱れるぐらいならもう諦めてほしいんだよ、私は。ご飯の入った袋を手に提げて歩く。リサイクル待ちのペットボトルたちが緑の網の中にいるのが目に入って、なんとなくその塊を蹴飛ばした。中身が飛ばないように無意識のうちに力加減をしていた自分がつまらなかった。後ろを振り返ったけども、誰もいなかった。せめて誰か見ていたらよかったのに。誰も見てない悪事なんて、本当にただの悪事になってしまうじゃないの。

 

結局ずっとこうだ。色んなことから色が消えていくのがわかる。おなかがすく、とかもよく分からなくなってきた。傷の痛みと不調だけがはっきりと自分に訴えてくるの腹が立つな。

自分だけのものにしておくのは苦しくて、小さく爆弾を仕掛ける。ねむたい